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2017/09/09

金持ちガンダムと貧乏ヤマト。

『宇宙戦艦ヤマト2202 第3章純愛篇』の予告編というものがYouTubeにアップされていたので観てみた。

このクリップはわずか1分くらい。
この作品の先行きを危惧したくなる出来である。







いい場面・すごい場面を見せるべき予告編だというのに、ごく短い尺に人物のアップが目立つ。
にもかかわらず、デッサンが微妙な感じがしないでもない。
<うまくないな>と感じる画。
マンガを描く人で、人物のアップばかり描く人がいる。身体や背景をうまく描けないからである。
アニメの場合、アニメーターの腕が怪しいということに相当する。
また、セリフの場面で口をパクパクさせるだけでいいわけだから、作画枚数を節約できる。
作画に枚数が割けない。
予算がないので、原画枚数が少ないとか絵の上手いアニメーターを連れてこれないとか、そういう事情が垣間見えはしないか。

出て来るメカは、なんだか『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』みたいだ。
コンピューターを使えば、手書きと違ってコピー&ペーストで艦船の数はやたら多くすることができる。
だけど、ペナペナだ。
艦船の外壁によくわからない文様が描いてあるだとか、へんてこなデザインの戦闘機とか、松本零士風味、スタジオぬえ風味のメカデザインが馴染んだ目には奇妙に感じ、違和感を覚える。

アニメだけど動きが少なく、メカが登場する場面ではコンピューターでそれらしく創りましたよ、というような「貧乏臭さ」が全体を覆う。

これと、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅴ 激突ルウム会戦』の冒頭11分動画がアップされていたので、比較してみよう。




一目瞭然である。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』はカネも手間も時間もかかってる。
安彦良和の絵をそのまま動かしている。
動きも驚異的にスムーズで、作画枚数の多さがわかる。
艦隊戦の描写を観るに、『ヤマト』の粗末さが嫌になるほどわかる。

2つの作品はカネがない作品とカネが十分にある作品の差がはっきり出ている。

予算がなくとも、優れた人手を確保できなくとも、人心を引きつける作品はまれにある。

片渕須直監督の『この世界の片隅に』がそうだ。
メジャーがそっぽを向いたが、クラウドファンディングの後押しもあり、作品を完成させたいという監督の情熱を意気に感じた素晴らしいスタッフも集まって作品ができあがり、無数のファンが口コミで作品の評判を拡散し、ついには大ヒットとなった。

『宇宙戦艦ヤマト2202』も、情熱を見せつけたら観客がシネコンに押し寄せて『君の名は。』を超える大ヒットにならないとも限らない。

フィルムには情熱が焼き付く。
それは観ているものに確実に伝わるのだ。

たとえば、『STARWARS』が好きで、80年代の日本のロボットアニメが好きな人が創った自主制作アニメである。

このアニメは、情熱がこもっていて大好きだ。
こういう情熱の伝わる作品にはできないのか?








せめて作っている人々の情熱の感じられるものなら良かったのに。
『宇宙戦艦ヤマト2202』は温度の低さばかりが目立っているように思えてならない。

乏しい予算で、動かずにアップが多く、メカはコピー&ペーストで『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』に近いようなテイストの作品になっていくのだろうか。
あと、話が面白くない。これは最大の問題である。

こんな作品を支援してカネを払う人はさて、どれくらいいるのだろうか。

見ものである。