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2016/09/27

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』と老人たちと掲示板と長いテキストと妄想

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』は、2017年2月25日から一部の映画館でのイベント上映とネット配信が開始されるのだそうだ。
2月25日。
国連軍に反旗を翻してヤマトが飛び立つならば2月26日に上映開始したほうが、それっぽくていいんじゃないかと思った。


















『宇宙戦艦ヤマト 2199』と同じビジネスをしようという算段だ。
26話からなるテレビシリーズを7回に分けて上映、劇場先行版Blu-Rayやマーチャンタイズ商品を高値で売りつける商売である。
『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』などというものは、言うまでもなく老人と老人に近い中年しか劇場に来ないので、連中からできる限りカネを巻き上げるというものだ。
バンダイは『機動戦士ガンダムUC』でそこそこ金を持っている高齢のアニメファンからカネをとる手法を確立した。あと10年くらいはカネを生みそうな気もする。




『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』は果たして期待されているのだろうか。
ネットを検索してみる。
公式ウェブサイトに行ってみたら掲示板があった。

「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」のここに期待!!
https://yamatocrew.jp/crew/bbs/yamato2202

文体が古くさい。文章もくどい。

スマートフォンを使ってソーシャルメディアでやり取りするのが主流な時代にあって、「掲示板」はなんだか内科の午前中の待合室のような、取り残された世界だ。
1974年の最初のテレビシリーズからヤマトを見てきた人は、もう病気とクスリの話題が欠かせない年齢になってる。
これはごく限られた数の(長文好きな)ファンに占拠された掲示板である。
今も「2ちゃんねる」に継承されている、掲示板文化の香りが強く漂う。
ひとり言のような文章が延延と投稿されている。顔を合わせない、ひとり言で微妙に意識がすれ違う「会話」が連なる。
なんとなく、新しく参加するのをためらいたくなるような「空気」もある。

内容は、
・おれ(またはあたし)はヤマトについていろいろと考えていますよ。
・おれ(またはあたし)の考えたヤマトの設定はスゴいだろう。
・おれ(またはあたし)の考えたストーリーもスゴいだろう。
・『宇宙戦艦ヤマト2199』は気に食わない。
・出渕裕も気に食わない。
・『宇宙戦艦ヤマト2202』はおれ(またはあたし)が気にいるようにしろ。
こういったところだ。

とどのつまり
「おれ(またはあたし)が見たいヤマトを見せろコノヤロー」
ということに尽きるのだ。

私がプロデューサーなら、この掲示板にせっせと書く世代も、書き連ねられている希望や提言はことごとく無視する。
こんなのはノイジー・マイノリティの、少数の声だ。

ビジネスとしての展開を考えれば、新しい客を呼び込むストラテジーを盛り込んだ内容のほうがいいに決まっている。
マーベル・シネマティック・ユニバースが、『アイアンマン』や『キャプテン・アメリカ』といった古くさいヒーローの「描き直し」をしっかりやったように。
ただキレイな絵で作り直したというのではなく、今の時代にキチンと合ったおはなしをしっかりと提示してくれたように。ヒーローものが無視してきた問題から逃げなかったように。
<今>に向き合うようなものにする。

TVシリーズ『Galactica』は、どちらかと言えば能天気なスペース・オペラ『宇宙空母ギャラクティカ』を「リ・イマジニング」と言いながら、まるで異なる作品に仕立て上げた。
2001年9月11日以降の世界情勢を目配りしつつ、人類と人類が生み出した新しい人類と呼ぶべき存在の対立と融和を描いた。
何よりも画を描き直して、旧作とはまったく違った面白さを見せてくれた。

『宇宙戦艦ヤマト2202』が『さらば宇宙戦艦ヤマト』または『宇宙戦艦ヤマト2』をきれいにトレスし直した作品になるとしたら、まったく意味がない。
いや、意味はあるか。
「懐メロ」で少数の老人を喜ばせることはできるだろう。
だけど、未来につながる、新しいファンは獲得できないだろう。

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』はどんな作品になるのだろう。


 

博多の焼き鳥屋がなぜだか西崎義展の養子になり、血縁者を差し置いて版権をゲットしたところ、『宇宙戦艦ヤマト2199』がヒットして大もうけ。さらなる儲けを企む西崎彰司は『復活篇』に至るまで再度制作したいという意向を持っているのだそうだ。
ヤマトはカネになると思ってるのか。
もしかしたら、中高年が右傾化している風潮に適合するだとか考えていやしないだろうか。

アニメのリメイクというか、リブートの商売はけっこう水物で、7割がた失敗している。
『宇宙戦艦ヤマト2199』のヒットは例外中の例外と思ったほうがいい。

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