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2016/03/30

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』を予想する。

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』というのが制作されるのだという。

『宇宙戦艦ヤマト2199』が大きな成功を収めた以上、製作者や利益関係者が続編に動き出すのは必然である。
『宇宙戦艦ヤマト2199』と同じように、劇場での限定イベント上映→DVD・Blu-ray発売およびインターネットで動画配信→TV放映→劇場用映画公開という流れを目論んで、経済的な成功を狙っているはず。もちろん、『宇宙戦艦ヤマト2199』よりももっと大きな成功を狙っているだろう。

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』は『宇宙戦艦ヤマト 2199』の続編として制作されないだろう。
『宇宙戦艦ヤマト 2199』の世界では波動砲は封印され、ヤマト自体がコスモクリーナーとして使われるのだから、それをひっくり返す話を考えなければならない。
それは面倒だし、説明で時間を食うとストーリーがもたつくし、粘着質な中高年オタクのツッコミがあったりしてウザい。









「新しいヤマト」では、「2199」世界を
否定し、最初のTVシリーズ続編にすべき。



『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』は、最初のTVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト』の続きにすればいいんじゃないか。
最初の13分くらいで、ガミラス星での戦闘、イスカンダル星でのコスモクリーナー受領、帰路のデスラー襲撃、地球帰還をダイジェストで見せて、『宇宙戦艦ヤマト2199』とは違うのだということをはっきり見せる。
そして、最初のTVシリーズの接続する続編であることを知らせる。
画のタッチも違うこともここで理解させる。
『宇宙戦艦ヤマト2199』はなかったことですよ。
 そうアピールして新しい客層を開拓すればいい。画のタッチも湖川友謙の、『さらば宇宙戦艦ヤマト』をトレースする感じでいけばいいんじゃないだろうか。



あ。
白土武タッチも捨てがたい。
これもまた、ヤマトらしい味といえる。




どうだ。
CGも止めて、セル画で作る。太い描線でセルについた傷もゴミもホコリも気にしない。
『宇宙戦艦ヤマト2199』のキレイキレイした画面なんてクソくらえ。
こういう画に戻してやれば、『宇宙戦艦ヤマト2199』を執拗に叩いていた連中は、大喜びでDVDなりBlu-rayを大量購入するんじゃないか。
話も、「自己犠牲の尊さ」とか吐かして『さらば宇宙戦艦ヤマト』をトレスして、主要人物がどんどん死んでみんなに泣いてもらうのがいいだろう。
もとい。
『宇宙戦艦ヤマト2』をトレスだ。続編作る気なら、こっちだ。

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』のシリーズ構成&脚本は福井晴敏だ。
誰もが目をそらして口をつぐんでしまう傑作3Dアニメ超大作『キャプテンハーロック』の脚本を担当した福井晴敏ではないか。
主人公がいったいなんのために戦っているのかわからないままに進行していく展開、クライマックスでハーロックが若者に将来を託して死ぬかと思ったら死なないというアンチ・クライマックスの驚くべきエンディングでもって終わった『キャプテンハーロック』の福井晴敏なのだ。

これは期待するなというほうがおかしい。




どうでもいいが、DVDのジャケットは松本零士先生が描いたものなんだろうか。他の人が似せて描いたものだろうか。
西崎義展との著作権裁判で揉めてもなお、なぜこんなジャケットが使われているのか。
解せない。

見たことのない、「新しいヤマト」は
望むべくもないのか?



リブートするのならば、旧作のガトランティス、暗黒星団帝国、ガルマン・ガミラス帝国、ボラー連邦、大ディンギル帝国、 SUS(星間国家連合)のお話はやらないで、新しい敵を用意するとかしたほうがいい。
こうやって足掛け30数年に及ぶ敵の名前を書き出してみて、うんざりする。
『宇宙戦艦ヤマト』とは、広い意味で<永劫回帰もの>なのがわかるからである。
毎回、似たりよったりの強大な「帝国」と戦って、どうにか勝って、一旦リセットされて、また「帝国」と戦うというループ。
「タイムボカンシリーズ」で毎週ドロンジョ様一味が仕掛けてきては負ける。
アレと同じ。

ナントカ帝国との対決ものはいっそやめて、並行宇宙がらみの戦いだとか、宇宙先史文明のもたらした災厄に立ち向かうだとか、もっとSFに寄せた話が見たい。

無理だろうか。

無理だろうな。
商売するならば、これまでのお客に寄せてやるものな、きっと。

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』には『宇宙戦艦ヤマト2199』の総監督・出渕裕、キャラクターデザイン・作画監督の結城信輝、音楽の宮川彬良の名前はない。

(追記:その後、キャラクターデザインで結城信輝、音楽で宮川彬良が参加しているのがわかった。『2199』の脚本陣は参加しないようだ)

作品の方向性は、大きく変わるだろう。
製作者たちは『ヤマト』の看板で客が呼べると踏んでいるに違いない。

そうだろうか。
ほんとうにそうなんだろうか。

いまちょっと思っているのは、『サイボーグ009 VS デビルマン』というOADのことだ。石ノ森章太郎と永井豪という師弟コンビの代表作を合体させたアニメ作品が映画館でイベント上映したあとでDVD・Blu-rayを販売したものの、売れずに撃沈。
2015年末の話なんだけど、話題にすらならなかった。
(正確に言うと、ごく少数のファンは話題にした気がする)
作品の出来に問題があるのだろうか。

『機動戦士ガンダムUC』や『宇宙戦艦ヤマト2199』の成功で、<中高年のアニメ市場>を期待する空気があって、そのなかで『サイボーグ009 VS デビルマン』は巨匠二人の金看板を掲げて登場した。
しかし<中高年のアニメ市場>は『サイボーグ009 VS デビルマン』に利益をもたらすことはなかった。
『サイボーグ009 VS デビルマン』の企画書には、『サイボーグ009』と『デビルマン』の単行本の総発行部数だとか、これまで作られたTVアニメや映画の利益の金額だとか、そういった数字が書かれていただろう。
『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』の企画書にも、『宇宙戦艦ヤマト2199』のもたらした収益だとかそういったものが書かれているだろう。

しかし、ファンは気まぐれだ。
興行は水モノだし、流行は簡単に移り変わる。

リメイクやリブートも、もちろん水モノである。
ファンが作り直された作品に尻尾を振らない場合も、もちろんある。

『ターミネーター:新起動』という、『ターミネーター』を描き直した映画がある。
鳴り物入りで登場したものの、興行は不発。
ジェームズ・キャメロンのオリジナルを、最新の映像技術でキレイに描き直してみせたが、それだけだ。あえて創り直すインパクトがない。『ターミネーター』を支持した観客は映画館に行かなかった。
かくして構想されていた続編/新シリーズ化は断念された。

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』もまた、そういった不確定要素のなかで出てくるのである。
少なくとも、『宇宙戦艦ヤマト2199』のファンの多くは離れていくのではないか。
その数は少なくはないのではないか。

現時点では、何も発表されていないに等しく、どうなるかは知らない。
年末、映画館でイベント上映が始まるのを待ちたい。
TVアニメのフォーマットで、13本なり26本作られるとして、最初の2、3本に対する評価ですべては決まる。

さて、どうなるのだろうか。

ビッグ・サプライズがあるとしたら、松本零士の参加だろう。

話題作りとしてはこれ以上のものはない。

『プレイステーション』用のゲームに収められていた、松本零士タッチで描かれたムービーは魅力的だった。あんな感じで描かれたら、観たい。







それが商業的な成功につながるかどうかは知らないけれど。


4 件のコメント:

  1. 2202は明確に2199の続編とヤマトクルーの福井氏への長~いインタビューに書いてあります。波動砲問題は最大の宿題とのこと。

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    1. 「ヤマトクルー」って、有料のファンクラブ会報でしたっけ。

      なるほど、2199を引き継ぐと。
      スタッフが変わって、果たしてどういうテイストになるか、気になるところですね。
      実際に目にすることができるのは1年後なので、楽しみに待つことにしましょう。

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  2. 多分映画版の最後に成らないと思います、が、映画が始まって1週間でお客の入りがガラガラって
    PVで情報だし過ぎでPV見てると大体のあらすじが見えてくる感じ?そして先行販売ブルーレイ・DVDの数が少なすぎて反感を買っている状態みたいです、その内最後まで行かないで終わったOAVみたいに終わったらお笑い物かもファンをムシする会社ですからね~

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    1. 全7章で公開と言っていますが、Blue-rayやDVD売れ行きとなったらどうなるんでしょう。3章か4章くらいでエンディングにして終息ですかね。

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