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2015/12/29

『スター・ウォーズ』はヤマトのパクリだ!

「『スター・ウォーズ』は、『宇宙戦艦ヤマト』のパクリだ」

そういう説が公開前後から今に至るまで言われ続けている。

ストーリーもデザインも人物設定もコスチュームデザインも日本の作品から貰ってきたものなのだという。


「『スター・ウォーズ』は、黒澤明の『隠し砦の三悪人』をパクっている」
「『スター・ウォーズ』は、東映の戦隊ヒーローシリーズをパクっている」
「『スター・ウォーズ』は、東映の戦隊ヒーローシリーズをパクっている」 
「『スター・ウォーズ』は、松本零士のマンガやアイデアをパクっている」
「ダース・ヴェイダーのヘルメットは、伊達政宗の兜の意匠をパクっている」
「ジェダイの騎士は、日本のサムライとその精神たる武士道をパクっている」
「R2-D2は、『宇宙戦艦ヤマト』のアナライザーのデザインをパクっている」




そうなのだろうか。

そうだとしたら、誇るべきことなのか。 それとも、日本のアイデアをパクったことを糾弾すべきなのか。

2015/12/12

『宇宙からのメッセージ』VS『惑星大戦争』

ジョージ・ルーカスの『スターウォーズ』は1977年5月に全米で公開されて大ヒットした。
1977年の夏にはTVシリーズを再編集した、カットによって登場人物の顔がコロコロ変わるでおなじみの劇場版『宇宙戦艦ヤマト』も公開された。
アメリカでの『スターウォーズ』の熱狂が喧伝されて、SF映画ブームが巻き起こった。

しかし、日本での公開は1978年の夏となった。1年以上のブランクがあった。
すると、日本の映画大手2社が動いた。突如巻き起こったSF映画ブームに便乗し、本家の前に一儲けしようと急遽映画を作った。
1977年12月、東宝はお正月映画として『惑星大戦争』を公開した。
東映は1978年4月に『宇宙からのメッセージ』を公開した。





2015/12/08

奇跡の堀江由衣



本屋で声優雑誌を立ち読みし、グラビアページを見て以来、「女性声優はどう写されているか」が気になってしかたがない。
とくに、おそらくは高校生くらいのアイドルを想定していると思われる堀江由衣が気になるのだ。
女性声優の中には、何人か年を取らない人がいるとか、娘さんに年齢を抜かれてしまったとか、そういう<奇跡>が喧伝されてる。
堀江由衣もまた、<奇跡>の文脈で語られるひとりだ。






2015/12/04

『サイボーグ009VSデビルマン』だって?|サイボーグ009

『サイボーグ009VSデビルマン』というOAD(オリジナルアニメディスク)が出た。
画のタッチも、作品の時代背景も、作品における社会も風俗も違うというのにどうやって同じ作品世界で共演させるんだろう。
と思ったが、そんなことはどうとでもなることで、こうして30分×3本のパッケージが売られているのだ。

マーケティング的に言うと、『サイボーグ009』の新しいTVシリーズへ布石を打った
アニメであるらしい。
『サイボーグ009VSデビルマン』の反響しだいで新しいTVシリーズか新しい映画を作ろうとしているようである。



『サイボーグ009』と『デビルマン』は共通項がある。

2015/12/01

『ターミネーター:新起動』は商業的な2次創作映画

ターミネーター: 新起動/ジェニシス』を見た。
気がつけば、映画の『ターミネーター』も5作めだ。『ターミネーター3』『ターミネーター4』とあまり評判が良くない続編があって、それでも作られた。

『新起動』という邦題はリブートの直訳である。
しかし、この映画の本質を言い当てている気がする。
『ターミネーター3』『ターミネーター4』の世界をなかったことにして、ジェームズ・キャメロンが撮った『T2』から続く世界を描き直した。

映画はここに来て「書き直し」されて新起動したのだ。





2015/11/27

ゾンビ化した『サイボーグ009』|サイボーグ009

『サイボーグ009VSデビルマン』というアニメーション映画が公開された。
2015年の秋に「イベント上映」で2週間の限定公開である。
ということは、DVDとBlu-rayの販売、さらにはネット配信で儲けることを想定しているのだろう。
ターゲットは、もちろん、40歳以降の可処分所得が多いアニメファンだ。



ひとつは1960年代、もうひとつは1970年代に描かれた。どちらも、何回となく映像化もされたマンガだ。
これをリブートだのコラボだのの単語をくっつけるとそれっぽいが、売れ残った古い品物を虫干しして縫い合わせたみたいな、怪しげな商品みたいだ。
まったく違う世界を描いているはずなのに、同じ世界にいられるのだろうか。

『サイボーグ009VSデビルマン』は、 「石ノ森章太郎」「永井豪」の名で客が反応するのか。それには興味がある。
いや、正しくはDVD・Blu-rayがどれけだけ売れるのか、興味がある。
これは若いアニメファンをターゲットにしたものではないことは言うまでもない。かつて石ノ森章太郎ファンだった人と永井豪ファンだった人の財布をあてにしているのだ。

とりわけ、「石ノ森章太郎」に反応して金を出す者がどれだけいるのか、気になる。
いま、「仮面ライダー」で石ノ森章太郎の名前は「原作」とクレジットされている。もちろん、冥界でストーリーを書いてこの世のスタッフに送り届けるなんてことはできっこないのだから、ただの名義貸しにすぎない。
で、『サイボーグ009VSデビルマン』でも名義とキャラクターが使われた。

『サイボーグ009』の名を目にすると心がうずく。

ある時期、夢中になって読んだからだ。
繰り返しくりかえし、舐めるようにして読んだ。
その作品世界も登場人物も深く愛した。
だが、ある時期以降に読まなくなった。
「天使編」「神々との戦い編」が両方とも物語の端緒を描いた思わせぶりなところで終わってしまった。これからどうなるのかというところで終わった。
石ノ森章太郎は、 「天使編」「神々との戦い編」を封印して『サイボーグ009』の単発エピソードを描くようになる。
画柄は『サイボーグ009』と同じだけれど、描かれた内容は空疎で印象には残らない。その頃のほかの石ノ森章太郎作品と同じく。




2015/11/21

アベンジャーズ対仮面ライダー、大予算対小予算、もしくは豊穣対凶作



『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を見た。

アイアンマン、キャプテンアメリカ、マイティー・ソー、ブラックウィドウ、ホークアイ、超人ハルクといったマーベルコミックのヒーローたちが共闘する豪華な映画だ。
ヒーローたちが力を結集して、人工知能<ウルトロン>と闘う。
実際に映像を見ると、興奮してしまう。
当然、各ヒーロー/ヒロインには見せ場が用意されている。3Dならではの見せ方をしっかり心得ていて胸がすくアクションで楽しませる。

冒頭、移動ショットでいきなりヒーローたちが決め技を次々見せてくれる。その時点でハートはがっちり掴まれてしまう。
ヒーローものは、何よりもアクションだ。


ブラック・ウィドウのスカーレット・ヨハンソンがよかった。

ブラック・ウィドウがバイクに乗ってソウルの道路を疾走しつつ、敵と闘うシーンがすごくいい。彼女はヘルメットも被らず疾駆する。
仮面ライダーがやらなくなったバイクアクションだ。


アイアンマンも、もちろんカッコいい。
動いていない時のフォルムは、そんなにカッコいいとは思わないのだけれど、飛行シーンやバトルシーンの圧倒的なカッコよさに高揚する。





映画として同じ構造を持つのが、劇場版『仮面ライダー』である。

歴代の仮面ライダー、ときにスーパー戦隊が集まって敵と戦う。ヒーローたちの結集という一点で同じだが、目にする映像は全く異なるし、同じ「映画」とも思えない。

違いは何なのだろう。




2015/11/11

西崎義展と宇宙戦艦ヤマト Part4 西崎義展の終局

西崎義展は1980年代の当初までは、独立系のプロデューサーとして有名になった。
しかし、実態は『宇宙戦艦ヤマト』を当てただけだった。
アニメも映画もあれこれ手を出したが、制作に至ることなく頓挫したとか、ヒットせずに終了したとか、そんな作品ばかりだった。

このエントリーでは、西崎義展の終わりに至る道筋を辿ってみる。
華々しい時期が思いの外短かったことに気づく。



もしかしたら、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち [Blu-ray]』が絶頂だったのではないだろうか。

1997年、西崎義展の名が世間から消えた頃のことだ。
12月2日に覚せい剤取締法などの違反容疑で逮捕される。
1999年2月1日には、銃砲刀剣類所持等取締法、火薬類取締法、覚せい剤取締法違反で現行犯逮捕された。

実刑を受けて収監され、2007年12月19日、刑期を終えて出所した。

映画『宇宙戦艦ヤマト復活篇』をプロデューサー・監督を兼務して制作。
映画は2009年12月に公開されたが、興行的には大失敗。

2010年11月7日午後0時35分ごろ、東京都小笠原村父島の海で、遊泳目的で停泊中のウエスト・ケープ・コーポレーション所有の船『YAMATO』から転落した。
午後2時58分に医師により死亡が確認された。享年75歳だった。


2015/11/10

堀江由衣はフルCG化したらどうだ。

堀江由衣の「Asymmetry」という曲のプロモーション・ビデオを見た。
正しくアイドル的な、アイドル以外ありえない世界で、アイドルが歌う。長くアイドルをやってる堀江由衣が歌うのだ。

昔、ある時点で年齢を重ねることを止めたらしい堀江由衣は、この映像でも齢をとってはいない。
ファンタスティックである。



すばらしい。

堀江由衣は、声と歌と映像の世界にあって、永遠の存在だ。
ファンは年齢を重ねていくが、彼女は留まり続ける。
もしかしたら、ファンの子や孫の世代になっても、堀江由衣はそのままなのではないか。



2015/10/04

ヤマトしかなかった男|『宇宙戦艦ヤマトを作った男 西崎義展の狂気』

「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気 』を読んだ。

芸能界にいてコンサートなどの興行を手がけていた男が、仕事仲間と金銭トラブルを起こした挙句、海外に逃亡。
ほとぼりが覚めた頃を見計らって、帰国。
今度は、アニメ制作者となって、『宇宙戦艦ヤマト』が映画化をきっかけにして大ヒットとなり、続編『さらば宇宙戦艦ヤマト』も大ヒットして巨万の富とともに「時代の寵児」だの「大プロデューサー」だのといった虚名を得た。




この本は、西崎義展の人生から『宇宙戦艦ヤマト』を引き算すると何が残ったのかを明確に示している。

カネと女と虚栄心と麻薬である。

メディアに登場した時には「人間とは愛だ」「宇宙愛」などというコトバを好んで使っていた男は、裏では世俗的で俗悪なあらゆる欲にまみれて爛れた日々を送っていたということを、これでもかと抉ってみせる本だ。

2015/10/03

西崎義展と宇宙戦艦ヤマト Part3

西崎義展はアニメが好きだったんだろうか?

アニメ制作の現場を理解していたのだろうか?

西崎義展は会議魔だった。
かつて西崎義展プロデュースの作品に参加したスタッフは、口を揃えて述懐する。
スタッフを集めての、会議に次ぐ会議。
映画館での上映、テレビ放映、いずれも期限が決まっている。
当然のことながら動画制作に充てられるべき時間が圧迫される。
当然の事ながら絵が荒れ、作画や撮影のミスは省みられることはなく、当然の結果としてアニメとしては質の低いものになってしまう。




山本(弘) 西崎義展からすごいしつこい電話かかってくるんだよね。「ぜひSF設定お願いしますって」
岡田(斗司夫) デスラーみたいな声で(笑)
山本 とにかくこっちは忙しいから、なんとか断ろうと思うんだけど、向うは押してくる。「とにかく設定書を送ります」って。
ヤマトが新たな人類の移住先を見つけなくちゃいけないっていうんで、銀河中心に行ったら、銀河中心にUSA的大国がある(笑)。ちゃんとその企画書に 「USA的大国」って(笑)。で、そいつが銀河の国連を牛耳ってて、小国をいじめてる。で、ヤマトが「八紘一宇の精神を発揮して」…(笑)。
岡田 で、表紙見たら「原案/石原慎太郎」って書いてあったっていう(笑)。

岡 田 俺ね、前田真宏が『YAMATO2520』始めた頃にヤマトスタッフルームへ遊びに行ったんですよ。とにかく『ヤマト』の設定っていうの、僕も見たくて見 たくてしょうがなかったから(笑)。「真宏君、ヤマトの設定見せて!」って言ったら、全員顔を見合わせるんですよ。「なにかな?」って思ったらね、なんか すっごいデカいキャビネットをバカッーッと開いたら、180センチくらいの紙が積んであるんですよね。「うわぁ〜っ!!」って思ったら、そのドアに 「1」って書いてあるんですよね。キロじゃなくて、トンで計るくらいの紙が…。ものすごかったですよ。とにかく、どこ見ていいかわかんないですよ。結局、 西崎さんって10何人でやってるブレインストーミングとかを、全部テープ起こししてるんですよ。
だから、大阪教育大学の堀江純さんとかそういうふうな人たちで。で、僕らとかでこういうふうにバカばなしする時でも、とにかく『ヤマト』のアイデアになってる。
その辺ではね、あの人はやっぱ超一流のプロデューサーだとは思いますよ。
全部テキスト化して、全部残してる。
コンテ切ってる最中に「組み立てドックの設定が…」って言ったら、「あーっ、これ、7年前に小林誠さんが描いたやつだ!宝庫ダナ!」って言って(笑)。もう、ホントに180センチぐらいあって。
山本 なんか、ありとあらゆるアイデアがあそこに詰まってるんじゃないの?
岡田 それぐらい分量がある。で、それぐらい一つ一つのアイデアが使えるんですよ。

(1999年『封印ー史上最強のオタク座談会』岡田 斗司夫+ 山本 弘+ 田中 公平、音楽専科社 (1999/07)

西崎義展は会議に時間を費やしては作品に関する情熱を語り、作品の設定にも時間と労力とお金をかけたことがよくわかる。
これは、アニメに関する権利をプロデューサーに集約するという点でも必要だった。

しかし、最終的なアウトプットたるフィルムは、質が低い。これが西崎義展が手がけたアニメの特徴だ。




2015/09/09

西崎義展と宇宙戦艦ヤマト Part2

西崎義展はアニメ業界に大きなインパクトを与えた人物だった。




何よりも、アニメ=まんが映画もしくはテレビ紙芝居という図式を壊してみせた。

そして、アニメのビジネスとしての大きな可能性を見出した人物である。
アニメに鉱脈を発見して、巨額のカネを掴んだ成功者だった。
子供に対しておもちゃを売りつけるという従来のビジネスをとらないで、全く違う市場を作った。
ティーンエイジャー、若者、さらにはその上の世代を映画館に足を運ばせたのち、書籍、レコード、キャラクター商品などの購入を促すという手法を確立した。
高額な「設定資料集」「豪華本」などがずいぶん売れたと記憶する。可処分所得の多い層=ファンが多く集まった。
それを意図的にしたのか、結果としてそうなったのかはわからない。
また、「宇宙戦艦ヤマトファンクラブ」を創立してファンの囲い込みをしたというのも特筆すべきだ。ファンのロイヤリティ(忠誠度)を高めるという点で効果的だった。

西崎義展は、アニメ業界を変えた人物と言える。
それでは、アニメ制作者/プロデューサーとしては、そういう仕事ができるのか。どのように評価されているのか?

西崎氏が途中ですっかり デスラーにのめり込んじゃいまして、
どんどんデスラーになっていった。


安彦良和の語る西崎義展

西崎さんで人は金に糸目はつけねえって人でしたから、コンテでも「おいロングを使え。やれ」って言うんですね。それだと金がかかるけどいいのかなあと思いながらコンテを切ってました。だからあんなハリネズミみたいな「ヤマトの絵がたくさん出るわけです。「ガンダム」ではそんな手間のかかることはできない。 それが当然なんですけど。
「ヤマト」は映画もやってオリジナルビデオもやっていろいろあったけど、 その中でいつしか滅茶苦茶になっていったんですよ。西崎氏が途中ですっかり デスラーにのめり込んじゃいまして、どんどんデスラーになっていった。続編を つくるたびに「これはデスラーの話だ」と言って、実際にデスラーが主役の話もつくった。ひどいことに自分で自分がつくった話の世界にのみ込まれてしまったんでしょうね。「ヤマト」もガミラスやデスラーという魅力的な仇役を創出したのが大きな成功の要素だったんですけど、西崎氏にとっても魅力があり過ぎた。難しいものですよ。
彼は人をとっつかまえたら離さないところがあって、僕は途中で、もう「ガンダム」と同時に「ヤマト」までやってられないってのもあって、抜けたくて抜けたくて仕方がなかったんですけど、抜けられなかった。最後にはもう相当シリアスなケンカでもしない限り抜けられないと思って、シリアスなケンカをして抜けました。

西崎義展と仕事する困難さが伝わってくる。
超ワンマンの会社で働く辛さとでも言おうか。

今回のエントリーでは、アニメ業界で働く人と西崎義展の関わりを、ネット上に残された発言やインタビューから探ってみる。



2015/09/04

本当にあった呪いの心霊ビデオとか闇動画

レンタルビデオ店に足を運ぶ。

レンタルが解禁になった話題作が目当てで足を運んだのだ。
だが、その話題作は全部貸し出しになっていてアテが外れてしまった。
手ぶらで帰るのではない暇をつぶすすべがない。では、代わりに何か借りて帰ろうと、店内を周回すると、「実話心霊ビデオ」のコーナーがある。Jホラーが並んだ棚の、すぐ隣だ。
実話心霊ビデオの棚には、思いのほかたくさんのタイトルが置かれている。
けっこう人気のあるジャンルらしい。
手近なタイトルのパッケージを手に取ってみると、「実録心霊ビデオ」と赤い文字で書かれてる。
1週間100円になっているので、パッケージが怖そうなものを2本くらい選んでみる。


 本当にあった 投稿 闇映像 8

まず一本目は『本当にあった投稿闇映像8』である。

家に戻って、パソコンの光学ドライブにDVDを挿入して再生する。
ほどなく、液晶モニタに映像が映し出される。

ハードディスクから消去されたデータを復元する「データサルベージ」の会社に持込まれたとあるHDD。



HDDから動画ファイルが復元された。 それには、首吊り自殺をしようとする女の姿が映っている。







2015/08/20

『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』は宇宙冒険映画だ!

驚いたことに、『宇宙戦艦ヤマト』は最初のテレビ放映から40年以上も経つのに、まだ忘れ去られていない。
それどころか、新作が作られて商業的に大成功するという、今でもとても大きな<潜在市場>を持ったアニメであることがわかった。
新しいTVシリーズが成功し、新作の映画づくりにつながった。

付け加えれば、アメリカで実写リメイクというニュースも伝わってきた。
これは静観しておいたほうがいい。
ハリウッド映画の企画なるものは潰れることも往々にしてあるからだ。
そもそも、アメリカでのタイトル『STAR BLAZERS』って人気があるんだろうか、と思う。













40年の時間に刻まれているのは輝かしい歴史だけではない。
ヤマトの歴史とは、大半は金儲けに走り、変質と陳腐化へと堕していく昏い歴史だ。
「さらば宇宙戦艦ヤマト」から「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」に到る作品群は、デウス・エクス・マキナに魅入られた作品群である。
最初のTVシリーズにあった魅力を受け継がない作品群だった。

ヤマトの歴史には、さらに醜聞の数々も書き加えられているのは周知のとおりである。

忘れ去られ、忌避されていたはずのヤマトは、『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』、続く実写版『SpaceBattleShip ヤマト』のヒットが休眠していたかつてのファンの目を覚まさせることになった。
それは『宇宙戦艦ヤマト2199』の大ヒットにつながった。
『宇宙戦艦ヤマト2199』はリブート作品である。
旧作品を書き換えるのだから「昔の作品をきれいに模倣しました」「オリジナル作品そのまま再現」では意味がない。オリジナルの持つ瑕疵もそのまま再現することになるし、知っているストーリーが繰り返されるだけだから面白いはずもない。時代の変化を踏まえたアップデートは当然である。

一方、オリジナル作品への敬意を持ち、オリジナル作品にある美点は継承すべきだ。
『宇宙戦艦ヤマト2199』がうれしかったのは、『宇宙戦艦ヤマト』最初のTVシリーズの持つ美点をしっかり受け継ぎ、現在に見合う形でもう一度見せてくれたことである。


『宇宙戦艦ヤマト』最初のTVシリーズの持つ美点のひとつに、<宇宙探検もの>映画であることを挙げたい。
新作劇場映画として制作された『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』にもその美点は備わっていて驚いた。
古典的な<宇宙探検もの>の映画だった。