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2012/07/11

「宇宙戦艦ヤマト2199」は脱西崎で成功。

「宇宙戦艦ヤマト」とは、西崎義展のものだった。

本放送では「アルプスの少女ハイジ」の裏番組だったこともあって視聴率が低迷、打ち切りとなってしまった。ところが再放送で人気に火が付き、TVを再編集した劇場版が思わぬスマッシュヒットとなった。すると東映動画が手を挙げて、続編が作られることが決まった。かくして「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」が作られた。
で、1978年に公開された。
すると観客動員数約400万人、興行収入43億円という、大ヒットを記録的してしまった。「スター・ウォーズ」(エピソードⅣ)も興行収入43億円だというのだから、いかに大ヒットしたかがわかる。
これが「ヤマト」の不幸の始まりだった、とおれは思っている。
西崎義展が大儲けして大金を手にしてしまったことが。

ご承知のとおり、「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」のクライマックスでは、古代進がヤマトとともに彗星都市帝国の超巨大戦艦に特攻をかける。
そのあと、こんなテロップが流れる。

ヤマトを愛して下さった皆さん・…さようなら。
もう、二度と姿を現すことはありません。
でも、きっと永遠に生きているでしょう。
あなたの胸に、心に、魂のなかに。

ヤマトが
沢田研二が唄う「ヤマトより愛をこめて」が終わるとこのテロップが流れた。
かくして、映画館内はすすり泣く声に満ちたのだった。









しかし。
ヤマトは銭になるという事実の前に、かのテロップは反故にされた。



ヤマト作れば金儲かる!
西崎義展は金ほしさに「宇宙戦艦ヤマト」第1作の名声を台無しにしていく。
金のためにオリジナルヤマトをレイプし続けたのだ。
「宇宙戦艦ヤマト」第1作の緻密な設定が省みられず、ご都合主義に堕ちる。

例えば、西暦2200年にヤマトがイスカンダルより生還、2201年には地球は完全に復興して、ヤマトは時代遅れの艦になっている。赤茶けた地球は緑豊かで海は青く、都市には高層ビルが林立する。たった1年で、それはないだろう。
「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」で、ヤマトは特攻した。
しかし、TVシリーズ「宇宙戦艦ヤマト2」はそれがなかったことにされる。
特攻エンディングではなくなって、ヤマトも、古代進も、森雪も生き残る。ここでパラレルワールドが産まれる。白色彗星帝国との戦いから数ヶ月後、おそらく西暦2202年を舞台にしたテレフィーチャー「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」、映画「ヤマトよ永遠に」へと続く。

「ヤマトよ永遠に」の時代設定は2203年である。

「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」で赤ん坊だったスターシアと古代守の娘、サーシアは「ヤマトよ永遠に」では1年で成人している。「イスカンダル人は1年で成人する」という設定になっている。
続いて、TVシリーズ「宇宙戦艦ヤマトIII」が制作された。これは当初、西暦2205年の物語だった。この作品では、母星を失ったデスラーはわずか1年のうちにガルマン・ガミラス帝国を興し、ボラー連邦と銀河を二分する巨大な星間国家を築いた。
「宇宙戦艦ヤマトIII」は全52話のはずが、視聴率低迷で25話で打切りとなった。

その後、映画「宇宙戦艦ヤマト 完結編」が制作される。
西崎義展が、完結編では「昔のように感情豊かな古代をドラマで描きたい」とのたまって、時代設定を西暦2203年に強引に変更してしまった。おかげで「宇宙戦艦ヤマトIII」の時代設定は曖昧になった。

「完結編」では、銀河を二分するガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦は銀河の大異変で消滅したことになっている。
最大のご都合主義は、「完結編」に沖田十三が登場、ヤマト艦長に復帰することだ。誤診だったということになっている。
制作者の「大人の事情」によるによる変更、あるいは都合のいい方に持っていく、ご都合主義的な設定変更が頻繁におこなわれ、結果として築き上げた世界観を自ら破壊するに至り、作品を支えてきたファンも激減していった。

完結編から17年後、実写化された「SPACE BATTLESHIP ヤマト」のおまけとして制作され公開された「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」は当然話題にはならず、興行的には無残きわまりない敗北に終わるのだった。

ヤマトの滅茶苦茶な迷走については、下記のブログがくわしい。異常なほどくわしい。いかにも第1世代おたくの人らしい文体と分析の鋭さとひねくれっぷりが堪能できる。
すばらしいブログで耽読してしまった。

E!チャット管理人 X-ふぁいる
お笑い宇宙戦艦ヤマト〜栄光と凋落〜


併せて、西崎義展という人物のおもしろさがわかる文章も紹介しておく。オタキングこと岡田斗司夫の追悼文だ。


【社長日記】西崎義展さんのご冥福を祈ります

ま、そういうわけでファンは「宇宙戦艦ヤマト」と聞くと薄ら笑いを浮かべて遠ざけるようになったのである。西崎義展の臭い=スキャンダルな悪臭が染みこんでしまって、辟易してしまったのである。

「宇宙戦艦ヤマト2199」の事前情報に触れ、「原作・西崎義展」とクレジットされることに一抹の不安を抱いた。西崎は故人となったが、生前に陳腐な設定やらストーリーの縛りを残していたのではないかと疑ったりした。
それは杞憂に終わった。
作品世界はていねいに再構築され、キャラクターデザインもメカデザインもリファインされて、これまでのヤマトにつきまとっていた西崎義展の臭いは払拭された。
以前のエントリーで書いたように松本零士の臭いも払拭されている。(ただし、スタッフの松本零士へのリスペクトは作品内のいろいろなところで感じられる)
これは、作品にとって幸せなことだと思う。

かつて、「宇宙戦艦ヤマト」第1TVシリーズが好きだったけれど、すでにアニメに対して関心を持たなくなり、「ヤマト」と聞くと半笑いになってしまうひとにこの作品をつよく薦めたい。あの頃、ヤマトを見て覚えた感動を再度体験できる。



3 件のコメント:

  1. 脱西崎Pが最大の成功要因と言う指摘はもっともだと思います。逆に言うと、復活編の最大の失敗要因は西崎Pであり石原晋太郎であります。

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  2.  たしかにヤマトはむちゃくちゃw。しかし、ファンはそれを差っ引いてもファンでw。

     2199は、時系列的に西崎Pが生前の時から企画されていたはずです。出渕監督は、2012年時点で、4年ほど前から作っていて、やっと発表できたとしていますからね。脱と言うにはどうでしょう。

     2199の成功は、西崎Pの流れ、出渕監督と豪華かつ優秀なスタッフ陣、松本先生をリスペクトしながらも脱松本先生したことによると思いますよ。私の感想で恐縮ですが、松本先生が提唱するヤマトは2199や復活編に比べ、あきらかにつまらない。それは現実に売り上げなどの面からも明らかに失敗している状況がありますよね。というか劇場公開やTV放映もままならない。
     それと初代ヤマト当時に若いスタッフで、現代では宮武先生のようなベテランが参加したことが成功の要因だと思います。出渕監督も当時、若いスタッフですよね。
     
     また復活編の最大の失敗は、小林監督だと思います。小林氏は確かに才能のある方だと思いますが、ヤマトの世界にはそぐわない。ガンダムでもそれは言えましたね。他のスタッフとの衝突の話も聞きますし、西崎Pともぶつかっていたと聞きます。これは、ネット上の噂レベルです。真実はわかりません。ただ、制作上の葛藤が、ダイレクトに作品に反映されてしまった感が否めません。また、私自身、西崎Pがイベントで話しているのを直接聞いたのですが、復活編は、若いものに任せていた。しかし自分の手でもう一度再編集したいみたいな事を言っておられたと思います。これはネット上でも話が出ていました。

     私自身、西崎Pのファンでもなんでもなく、擁護するつもりも全くありませんが、西崎Pの過去の悪風評や悪事があるからと言って、全部が全部、悪いところを西崎Pのせいにするのはいかがなと。今のヤマトがあるのは、たくさんの悪事wはあれど、あきらかに西崎Pがいたからだと思いますがいかがでしょう。もちろん松本先生にもそれはいえますが。

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    1. 投稿ありがとうございます。

      >  2199の成功は、西崎Pの流れ、出渕監督と豪華かつ優秀なスタッフ陣、松本先生をリスペクトしながらも脱松本先生したことによると思いますよ。私の感想で恐縮ですが、松本先生が提唱するヤマトは2199や復活編に比べ、あきらかにつまらない。それは現実に売り上げなどの面からも明らかに失敗している状況がありますよね。というか劇場公開やTV放映もままならない。

      これは私も同意します。
      「宇宙戦艦ヤマト2199」の成功は、多くの人のアイデアと能力の賜物である「宇宙戦艦ヤマト」の第一シリーズの良い部分をきちんと生かし、なおかつ新しさを盛り込んだことにあるのだと思います。

      他のエントリーで書きましたが、私は松本零士は、とうの昔に賞味期間が終わっていた人だと考えています。おそらく「さよなら銀河鉄道999」あたりで、終わってました。
      松本零士のマンガのほとんどは入手困難で、「999」のアニメもすでに忘れ去られてしまいました。(なのに、「ハーロック」映画化、「まほろば」の劇場版アニメの企画が通ってしまうのが不思議でなことではありますが)
      同じように西崎義展も、おそらくは「宇宙戦艦ヤマト」の第一シリーズで終わっていたと考えます。
      第一シリーズ以降の「ヤマト」は同工異曲でしかありません。そして、西崎義展は「ヤマト」以外のヒット作を生み出すことなく終わりました。

      >  また復活編の最大の失敗は、小林監督だと思います。小林氏は確かに才能のある方だと思いますが、ヤマトの世界にはそぐわない。ガンダムでもそれは言えましたね。他のスタッフとの衝突の話も聞きますし、西崎Pともぶつかっていたと聞きます。これは、ネット上の噂レベルです。真実はわかりません。ただ、制作上の葛藤が、ダイレクトに作品に反映されてしまった感が否めません。

      小林誠が「復活篇」でどういう役割を果たしたのかは知りません。
      彼が関わったと思われるメカデザインやそれらが繰り広げる戦闘シーンのセンスのなさにはため息が出ました。

      「復活篇」失敗の理由は、あんな脚本が通ったことと、作画スタッフのセンスが古かったということだと思います。

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